江戸時代から続く指物師の4代目は、伝統と技術、江戸っ子の粋を小さな世界に込め、究極ともいえるミニチュアの芸術を完成させました。
13人目
近代ミニチュア職人の第一人者
小間物職人・小林礫斎
(こばやし れきさい)
最後にご紹介するのは江戸時代の人ではありませんが、江戸時代の職人の技術と心意気を現代に伝えた人物でした。
その名は小林礫斎。
本名は小林夏太郎といい、江戸時代から続く指物師・礫斎の3代目の長男として1884年(明治17)に東京の下町は浅草で誕生しました。ちなみに指物師とは箪笥(たんす)や机など木製家具をつくる職人のことです。
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将来の4代目として幼い頃から父に職人としての技術を学び、15歳の若さで一人前の職人としてスタートした礫斎は、主に煙草入れにつける根付(ねつけ)や煙草盆などを制作して生計を立てていましたが、時代の変化とともに和装向けの商品は需要が減り、糊口をしのぐための余技として観賞用のミニチュアを手がけるようになったといいます。
礫斎のミニチュアは“玩具”の域を超えた芸術品でした。本物をそのまま忠実に極限まで小さくしただけでなく、箪笥の抽斗(ひきだし)はちゃんと開閉するし、4㎜ほどの小さな独楽(こま)は回すこともできるなどおどろくような仕掛けが施されていました。
礫斎のミニチュアは国内だけでなく外国人も魅了し、あのヘレン・ケラーも来日した際、礫斎のミニチュアを買ったそうです。
江戸時代に活躍した名人や達人は今につながる人物も多く、興味深いですね。
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