ここからは『略画式』シリーズ以外も紹介。テーマはなんと諺(ことわざ)です。
水入れすぎぃい!
いろんな諺がユーモラスなタッチで表現されています。注目は2枚目中央上の「寝耳に水」。どう見ても水入れすぎです。入れてる女性のシラっとした表情とやる気のない所作も面白い。1枚目中央下は「糠に釘」。何本やってもムダだよ!と誰か教えてあげてください。
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ゆる~いだけが政美じゃない。お次はガラリと雰囲気を変えた作品です。
繊細にして美麗
略したタッチとは正反対、濃密なほどに描き込まれた写実画です。同時代のほかの絵師の作品と比較しても、写実性、芸術性ともにぬきんでています。
花つながりでは、
まるで幽霊画のような
打ち付けるような激しい風雨にしなる牡丹の花。激しさと同時に一抹のさみしさも感じられます。まるで雨のなかに出てきた幽霊のような……。あ、あの絵に似ているかも!
これ。『画図百鬼夜行』(鳥山石燕 画)の「姑獲鳥(うぶめ)」。なお、個人の感想ですのであしからず。
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花つながりでこんどは明るく
なんだかファンタジー
お花もピンク、着物もピンクでとってもファンタジー。政美はあまり美人画を手がけていないそうなので、これは珍しい1枚。ちなみに、手前の女性が持っているのは如雨露(ジョウロ)。今のように水を入れる本体部分はなく、先っぽのほうだけがあり、桶などから水を入れて使いました。
美人つながりで
着物の透け感が色っぽさ抜群
黒の紗の着物に透ける赤い襦袢(じゅばん)、そして透けるように白い肌。肉筆画ならではの、ため息ものの美しさです。
美しさならこちらも極上
春のうららに飲めや踊れや
花見の宴を楽しむ人たちのにぎやかさと、清らかに咲く桜の静かに散る姿の対比がたまらないですね。
子どもを描くとこんな感じ
でっかく育ったね
かわいいのか、かわいくないのか観る人によりそうですが、ひとつ言えるのはスクスク育ってよかった!太もものムチムチ具合は200年前も一緒。
想像上の生き物を描くとこんな感じ
うねる黒雲がカッコイイ
太い筆で描きなぐったような黒雲がインパクトある、ドラマティックな1枚です。雷鳴や風のうなる音が聞えてきそうです。
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