• 更新日:2017年8月18日
  • 公開日:2016年6月20日


18禁の異色の幽霊画

『幽霊図』(月岡芳年 画)
『幽霊図』(月岡芳年 画)
幽霊の顔が女性器です。髪は陰毛です。ものすごく怖いような、怖くないような……いや、怖い。夜道で出会ったら卒倒間違いなし。

作品の意図について月岡芳年に聞いてみたい。ちなみに江戸時代の妖怪画などには、性器をモチーフにしたものがたくさんありました。性と生と死は密接な関係にあるようです。春画の有名な1枚にも顔が性器の男女というのがあります

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最後にもう1枚、芳年の幽霊画。超有名な幽霊を描いています。

1枚、2枚、3枚……お皿が足りない……

『新形三十六怪撰』「お菊」(月岡芳年 画)
『新形三十六怪撰』「お菊」 (月岡芳年 画)
『番町皿屋敷』などで知られる超有名怪談「皿屋敷」に登場する幽霊・お菊。夜な夜な井戸端で「1枚、2枚……」と悲しげに皿を数える姿はよく知られています。

江戸時代においても人気の高い怪談話で、歌舞伎や浄瑠璃などにもなり、お菊を描いた浮世絵もたくさんあります。さて、芳年版のお菊、怖さより悲しみが強く、はかなげで美しくもあります。

同じお菊でも天才・葛飾北斎が描くとこんな感じ。

もはやポップアート!

『百物語』「さらやしき」 (葛飾北斎 画)
『百物語』「さらやしき」(葛飾北斎 画)
お皿が幽霊の首になっています。北斎の発想力は自在です。

もう1枚、お菊の幽霊画。

深く、深く恨んでおります

『お菊幽霊図』 (祇園井特 画)
『お菊幽霊図』 (祇園井特 画)
芳年のはかなげなお菊とは対照的にめちゃくちゃ恨めしげ。眉間のシワに怨念の深さを感じさせます。作者は江戸時代後期の京の画家・祇園井特(ぎおんせいとく)。

知名度はあまり高くありませんが、アクの強い個性的な美人画は一度見たら忘れられないインパクトがあります。幽霊画もいくつかありますが、やはりものすごいインパクトです。

ということで、祇園井特の幽霊画をもう1枚。

もはやパンク

『美人と幽霊図』 (祇園井特 画)
『美人と幽霊図』(祇園井特 画)
ものすごい個性的です。頭頂部が薄くなった頭、目ヂカラのある上目遣い、歯が1本1本強調されたニンマリ笑顔、血管のような植物のようなグロテスクな焔……。

なんとも形容しがたい不気味な世界観を形成しています。ひと束の髪の毛をつまんでいるのも意味深で怖い。まさか枝毛を気にしているわけでもあるまいし……。

ちなみに、この幽霊画は美人画とセットの掛け軸で、美人画はまるで幽霊から目をそむけるように横を向いています

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