コンパクトさで重宝された寒い夜のありがたいお供、湯たんぽ
近年、湯たんぽが見直されちょっとしたブームになっています。夏には氷枕として使える2wayタイプなんてものもあります。湯たんぽの歴史もなかなか古く、室町時代に中国から日本に伝わったといわれています(諸説あり)。
江戸時代中期の百科事典『和漢三才図会』に「湯婆(たんぽ)、太牟保(たむぽ)は銅製で大きさは枕ぐらい、小さい口がある」とあります。どうやら当初は銅製だったらしいですね。
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幕末には陶製の湯たんぽも登場し、その後、ブリキ製やプラスティック製など湯たんぽもバラエティ豊かになっていきました。
さて、ここで問題です。これは一体なんでしょうか?
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正解は、湯たんぽ。
なんとワンコ型。耳の部分がパカリと開いてそこからお湯を注ぐ仕様となっています。かわいいぞ。ちなみに青銅製です。このなんともユニークな湯たんぽ、誰のものだったかといいますと……。この方です。
三代将軍・徳川家光です。
「余は生まれながらの将軍である」とおっしゃった方です。犬の湯たんぽだけに、生類憐れみの令で有名な“犬公方”五代将軍・綱吉のものともいわれていますが、家光所有説が有力なようです。
もうひとつコンパクトで布団のなかに入れて湯たんぽのようにも使った暖房機器がありました。それがこれ。
行火です。「あんか」と読みます。こちらも歴史は古く室町時代から使われるようになったといわれ、江戸時代中期に広く使われるようになりました。
木製の囲いのなかに土製の火入れを置き、炭火を起こして暖を取るもので、手軽に持ち運びできる暖房器具として重宝されました。こたつがさらにコンパクトになったもの、といった感じでしょうか。
手前にいる男性は江戸時代中期に三都(江戸・京・大坂)で人気を博した歌舞伎役者・三代目沢村宗十郎です。布団のなかに行火を入れて温まっています。
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