次は勝川春章(かつかわしゅんしょう)。多くの弟子を育て「勝川派」と呼ばれる一派を築いた江戸時代中期を代表する絵師です。かの葛飾北斎も若い頃に弟子入りしていました。
妖艶すぎる美女たち
美人画で正面からモデルを描いたものっていうのがまず珍しい。なんか新鮮。それにしても色っぽい。透き通るような肌の白さ、そして「透け感」がたまらない。薄い着物から女性のいかにも柔らかそうな腕が透けていて色っぽさ倍増。肉筆美人画を得意とした春章の筆が冴えまくっています。
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ゆるキャラ風どくろ
全身タイツみたいなドクロ、まったく怖くない。いや、むしろカワイイ。右のいかにも浮世絵っぽい女性と比較するとコラ画像みたいです。
昼と夜を同時に描くというビックリ発想
画面が斜めの線で分割されています。なんと昼と夜を1枚に描いてしまっているのです。マンガのコマ割りみたいですね。ちなみにこれは12ヵ月のさまざまな行事を昼と夜に分けて描くというシリーズのうちの1枚で、7月(文月)の行事である七夕(右上)と草市(左下)が描かれています。満天の星空、屋根に飾られた七夕飾りがたなびいています。
師弟つながりで次は葛飾北斎。世界で最も有名な日本人画家といっても過言ではないでしょう。生涯を絵の探求の捧げ自ら「画狂老人」と名乗った天才で、その作品のすごさは時代を超えて人々に驚きを与え続けています。
滝は生きている
まるで命あるもののようにうねる滝。木の根っこのようにも血管のようにも見えます。『諸国滝廻り』は全国の名瀑を描いたシリーズですが、どれも北斎にしか描けない滝の表現がインパクト大。
大胆かつ洗練された北斎デザイン
朱色も鮮やかな太刀をガッシとつかんで鴉が飛んでいます。下からのアングルというのが憎いですね。写実的な梅の描写とデフォルメされた鴉の対比もじつにユニーク。
天駆ける虎
北斎の最晩年の作品。これを88歳の老人が描いたなんて信じられません。虎の表現はリアルとかリアルじゃないとかそういったものを超越して、ただただ「すごい」のひと言。
北斎の絵は晩年の北斎画を特集した記事でも紹介していますので、そちらもどうぞ。
次は葛飾応為(おうい)。近年その名を広く知られるようになった女性絵師で、葛飾北斎の娘です。「蛙の子は蛙」ならぬ「天才の子は天才」。残された作品は少ないですが、応為の常人離れしたセンスを感じさせます。
闇と光が織りなす幽玄世界
暗闇のなか、灯篭の灯りが照らし出す女性の白い顔と淡いピンクの桜。匂い立つような妖艶で幻想的な空間です。思わずため息がもれてしまいますね~。
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