麗しき「人魚姫」とはほど遠い江戸版・人魚
こちらも未確認生物の定番中の定番、人魚。
人魚というと、なんとなく上半身が美女で下半身が魚のマーメード的なものを想像しますが、江戸時代の人魚はまったくの別物です。こちらの瓦版で伝えられた人魚には角が生えちゃってます。顔も般若みたいでかなり怖い……。
よく見ると胴には3つの目が!
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瓦版の記事によれば、越中国の四方浦に現れ漁船を悩ましていた人魚を捕獲した、とあり、ひと目見れば不老長寿、無病息災で幸せになる、とのことです。日本だけでなく中国でも人魚の肉には不老不死の力がある、といわれてきました。
1759年(宝暦9)に現在の青森県東津軽郡にて捕獲されたという人魚の図。やっぱり頭に2本の角。そしてなにより目を引くのが胸にかけた袈裟!
蘭学者・大槻玄沢が蘭書に基づき「一角(ユニコーン)」「木乃伊(木乃伊)」「人魚」など6種の薬物について交渉した書『六物新志』に登場する人魚。本書では人魚は完全に薬物扱いで、骨には止血効果があると記されています。
ちなみに、オスメスありまして。
こちらがオスで、
こちらがメスです。
オスとかメスとかじゃなくて、どっちもおっさんですね。
江戸の人気作家・山東京伝の黄表紙(大人の絵本)で、絵を手がけたのは人気絵師の歌川豊国。
乙姫に飽きた浦島太郎が鯉の遊女と浮気して生まれた人魚が主人公の物語。どんだけシュールなんだ!?貧乏な漁師の嫁になった人魚ちゃんは遊女に化けて遊郭で働くが「魚くさい」と客からクレームがくる始末……。がんばれ、人魚!
それにしてもこの人魚は顔以外は完全に魚で、人魚というか人面魚。
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